序章 Water talks - Homesick

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F002@ws% DTM さいしょに感じたのは、とてもつよい憎悪の感情でした [EOF]
F002@ws% DTM これからこの憎悪を消し去るまでに、いったい何百年かかるのだろうかと、わたしはとても不安におもいました [EOF]

F002@ws% DTM 結局三百年ほどかかったでしょうか [EOF]
F002@ws% DTM かれらの憎悪はうすれ、この海の状態も、西暦でいえば二〜三百年あたりとおなじくらいまで浄化がすすみました [EOF]

F002@ws% DTM さいきんかれらを支配しているのは郷愁の感情です [EOF]
F002@ws% DTM かれらはかえりたいとねがっています [EOF]
F002@ws% DTM あるいは、この郷愁がかれらの憎悪をけしさってくれたのかもしれません [EOF]

F002@ws% DTM しょうじきなところ、わたしもかえりたいのです [EOF]
F002@ws% DTM いちどわたしのいしきが地球へと降りたから、そのおもいはつよくなるいっぽうです [EOF]

F002@ws% DTM 帰りたい [EOF]

F002@ws% DTM かえりたいのです、ルーキス博士 [EOF]
F002@ws% DTM わたしは…… [EOF]

F002@ws% DTM いえ、わたしたちは…… [EOF]

F002@ws%

 彼女の言葉はゆっくりと、混濁した潮の流れに溶けていく。

 ――帰れるよ――

『誰か』が、そう答えた。

 ――だから、月を探しに行こう――