嵐が来るとも知らないで
海に漕ぎ出す愚か者
綺麗で優しい王子様
宴は永遠(とわ)には続かない
海は激しく荒れ狂い
小さな船など粉微塵
波に飲まれるあなたの宝石
見事な衣装の乙女たち
どんなにその身を飾っても
彼らが敵うことはない
波のあわいの奥深く
呼ばわる私の歌声に
愛しい私の王子様
海の底では生きられない
呼吸が止まる一瞬前に
瞳を開けて 王子様
両手であなたを抱きしめる
魚の尾を持つ私の姿
瞳を開けて 王子様
その目に姿を焼き付けて
愛しい私の王子様
あなたを殺すのはこの私